君死に給う事無かれ。
さっき遅い朝食を採りに食卓に行ったらラジオは大沢悠里の番組で、毒蝮三太夫がスーパーマーケットで喋るコーナーだった。斜めに聞いていたのだが、どうも誰かが亡くなったらしい。ただ途中からなのでよく分からない。ただ、「ウルトラセブンが…」というような会話が聞こえる。なんだろう?え?まさか、警備隊の誰か?
そのまま聞き続けても今ひとつ分からない。ふと気づいて新聞の訃報欄を捲った。ソガ隊員の顔が、そこにあった。なんだか頭をハンマーで殴られたような気がした。
紙面には死因等は出ておらず、告別式の日取りのみ。その間流れて来るラジオの会話に耳をそばだてていると、「滝壺が」「靴がそろえてあった」…。
二重にショックだった。それが「なんで」かということには二人とも思い当たる節はないようだったが、自殺…。
モロボシダンを除く男性警備隊員の中ではソガが一番好きだった。飄々としていて、おとぼけで。初期のシリーズ中最も「人間の業」を描いたとも言えるウルトラセブンは、ともすれば暗い雰囲気になりがちだった。そこに一服の清涼剤のように在ったのが彼だったような気がする。もちろんそれは演じている架空のキャラクターに与えられた設定ではあるのだが、その彼が…。
「癌になったり大怪我をしたりして、たとえどんなに苦しくても、人間は生まれてきた以上命ある限り生き続けなきゃいけない責務を負っている。」
毒蝮が言った。
その通りだと思う。我が身を省みて殊に。
その理が見えなくなるような事は、ある。信念を持てなくなる瞬間も。でも、それでもこういう想いが頭の片隅にあるからなんとか生きていける。でなけりゃ俺なんてとっくにどこぞでくたばってるに違いない。
フルハシ隊員として阿知波信介と共演し彼が俳優を引退しても朋友として長く付き合ってきた毒蝮の悲しみと、何も言わずに逝ってしまった親友への怒りにも似た想いが痛いほど伝わってきた。
生きてさえいりゃ、笑える日も来る。死んじまったら何もかもおしまいだ。
でも、一つだけ言い足したい。
本人は、そこでおしまいになるかも知れないが、遺された者はどうなる?
最も愛する人を助けてあげる事すら出来なかった事は、生涯血を流し続ける傷になるのだ。
だから今、この拙文に出会った方がもしも絶望の淵にいるとしたら、ひょいと身を投げてしまうその前に、どうかお願いだからその事をちょっとでも思い起こして欲しい。
生き続けるのは、時としてより辛い選択である事は骨の髄から知っている。けれども。
死ぬのは今日じゃなくても明日出来る。夜が明ければ明日はまたやってくる。でも今日死んでしまえば明日は二度と来ない。
本人にも、遺されし者にも。
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既に死を決意してしまったとしたら、実行する前に、誰かに話を聞いて貰って下さい。最後のSOSを発信して下さい。自分はたった一人だと思いこんでいるかも知れませんが、そんな事はありません。あなたを大切に思ってくれている人が、必ずいるはずです。ただ、今はそれが見えていないだけ。
最後の力を振りしぼって、助けを求めて下さい。
もしも誰一人思い浮かばなければ、「いのちの電話」でもいい。
自分一人だけで結論を出さないで下さい。
「あの時死んじゃわなくてよかった」と思える日が、いつかきっと来ます。
全国いのちの電話のご紹介
http://www.find-j.jp/link.html
ソガ隊員役 阿知波さん自殺か
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=207398&media_id=2
時事ドットコム:元俳優阿知波さん、自殺か=「ウルトラセブン」隊員役-鹿児島
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007050700790
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